梅は中国原産とされ、遣唐使が日本に持ち帰ったといいます。当初伝わったのは白梅のみといわれ、『万葉集』には桜44首に対し118首に梅が読まれ、その頃より広く親しまれていました。平安時代になると紅梅が伝わり、清少納言は『枕草子』に「木の花はこきもうすきも紅梅」と書いています。曽根天満宮の境内には、白梅では実梅としての白加賀・玉英(ともに白の一重中輪で赤茶色の萼)や杏との勾配種と言われる豊後などがあり、観賞用として一重の白い花弁に萼の緑色が映り爽やかな印象を与える「月の桂」
や「緑萼」があります。紅梅は鮮やかな紅色で八重咲きの「錦光」や濃紅で三重咲き中輪の「鹿児島紅」、遅咲きでピンク色の八重「難波紅」などがあります。梅の品種は300種以上あるといわれ、その判別は難しいですが、枝の色や花弁(花びら)の色や形、それに萼の色やしべの色に注目すると、より深い梅の世界が楽しめます。
梅は同一の木の花粉では結実しない品種が多く、受粉には蜂やヒヨドリ・メジロなどの力を借りなければなりません。開花時期はまだ寒く、蜂や鳥の活動が活発ではないですが、百花に先駆け開花するので、優先的にその訪問を受けます。花だけではなくそれに訪れる小動物の姿にも春を感じることができます。